松下竜一の『豆腐屋の四季』は冬に始まって、秋に終わる。大分県出身の作家は、母親の急死で大学受験を断念し、家業の豆腐屋を継いだ。苦悩に満ちた青春の日々を綴(つづ)る、彼の最初の随筆である▼〈泥のごとできそこないし豆腐投げ怒れる夜のまだ明けざらん〉…