作家の水上勉は9歳のとき、禅寺の小僧となった。湯のわかし方、火の焚(た)き方、箒(ほうき)のつかい方、茶の入れ方……。朝に夕に日常の些細(ささい)のなか、先師たちがはらりと悟った行実を教えられたという▼梅干しの作り方も、ここで習ったと『土を喰(くら)う日々』に書いている…